星空観察会

2017.8.20
星空観察会

ほしぞらの探訪@国民宿舎小豆島星空観察会案内人

ほしぞらの探訪大

 「ほしぞらの探訪」は、名古屋市立科学館でプラネタリウムの解説をしていた山田卓さんが、1974年に天文ファンならおなじみの地人書館から刊行した本です。副題に「肉眼・双眼鏡・小望遠鏡による」とあるとおり、手軽な星空散歩のガイド本として発行されました。案内人は中学生から高校生にかけて、この本を片手に星雲・星団や二重星などを6cm屈折や双眼鏡などで楽しんだものでした。

今も1974年発行の初版本と、就職してから古本として買った1994年発行の新版が手元にありますが、データの確認のため検索してみますと、なんと今年4月に新装版として復刊されていました。以前に紹介した「大宇宙の旅」もそうですが、やはりいいものは長く読み継がれるということだと思います。

この本の何がいいのかといいますと、プラネタリウム解説者としての長いキャリアに基づく、情報の取捨選択の良さがまず挙げられます。星空観察会を始めてもう7年目になりますが、会の解説の中でも特に民話やギリシャ神話に関するところは、実は多くをこの本に書かれていることに基づいています。いわばネタ本です(笑)。ギリシャ神話などは専門書が多く出ていますし、そういう本も読みましたが、何といってもこの本が最もシンプルで紹介しやすく、さすがプラネタリウム解説の実践から生まれた本ということができると思います。

この本の最初の部分は天文学や双眼鏡、天体望遠鏡の基礎知識にほしぞらの探訪こと座なっていて、初めての方だとちょっととっつきにくいかもしれませんが、メイン部分の星座別解説はギリシャ神話や民話から始まり、双眼鏡や小望遠鏡で楽しめる星雲・星団の楽しみ方まで、非常に親しみやすい平易な文章で書かれています。ややおやじギャグ系のところもありますが(笑)、掲載された星座別の星図はなんと全て著者の手書きによるものです。

今の天文入門書は、まずビジュアルから入っていくものが多く、それはそれで興味を引くという意味では大切なことですが、この本には本を読むという楽しさと物語があると思います。星空観察会に参加して天文に興味を持った方、また、双眼鏡などで手軽に星空を楽しみたいという方には、座右の書となりえる一冊だと思いますので、新装版発行で手に入れやすくなったこともあり、ぜひお読みいただきたいと思います。

なお、国民宿舎小豆島の星空観察会は、興味のある方ならどなたでも参加いただけます。開催時間は直前になりますが国民宿舎小豆島のツイッターやフェイスブックでお知らせしていますので、確認の上、国民宿舎小豆島本館屋上まで直接お越しください。

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