星空観察会

2016.8.23
星空観察会

天体望遠鏡で見る楽しみ@国民宿舎小豆島星空案内人

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星空観察会と聞いてまず思い浮かぶのは天体望遠鏡でしょう。土星の環や月のクレーターなどは天体望遠鏡がないと見ることができません。国民宿舎小豆島の星空観察会では、月や惑星は双眼装置で両目で見ていただいていますので、片目で見るのと比べて目が疲れず、格段に迫力ある姿で楽しむことができます。

ところで月のクレーターはもちろん凹んでいるわけですが、双眼装置を使って見るとなぜか凸になって見えることがあります。月は38万キロも離れているので、両目で見ても立体的に見えるはずがないのですが、人間の脳は「両目で見ているのだから立体的に見えるはずだ」と勝手に立体化してしまうようです。要は脳が騙されているわけですが、ちょっと目を離すと凹に戻ったり、また凸になったりと大変面白いのでぜひ自分の目でお確かめください。

ちなみに案内人は見過ぎて脳が騙されなくなっているのか、昔はよく凸に見えたのに最近は全然見られませんので、これは初めて見る人だけの特権?かもしれません(笑)。あるブログによると、双眼装置を買って月を両親に見せたところ驚愕して「ご近所さんにもお見せしなさい!!」と言われたとか(笑)。確かにそのくらいインパクトがあるのでぜひご覧になってください。

iphone6で撮った月トリミング_R

また、星雲・星団では、正直なところ光を蓄積できる天体写真にはかないません。特に星雲は、天体写真ではカラフルな色をしていますが、眼視では最も明るいオリオン大星雲でも灰色に見えるだけです。40センチ以上の大口径望遠鏡では、緑色に見えるとかほんのりピンクに見えるという人もいますが、これもなかなか難しいと思います。

しかし、やはり眼視ならではのものがあって、数百光年(1光年は約10兆キロ)から銀河なら数千万光年先の光、言い換えれば数百年から数千万年前の姿を実際にこの目で見ることにはまた別の趣があります。たて座M11という散開星団では、眼視では明るい星が一つあって、その周りを非常に微かな星が取り巻いているように見える姿が神秘的ですが、写真だと単に四角形に星が集まっているだけのように見えます。また、M27亜鈴状星雲では、視野に星が多く見えることもあってか妙に立体感のある見え方をします。写真では誰でも同じように見えますが、眼視では人によって見え方が違い、確かに見えているけどスケッチできないような微妙な見え方なのも大きな魅力です。

球状星団という数万~数十万の星がボール状に集まっている星団があります。一つ一つの星は極めて微かで、ツブツブが見える人とどうしてもボーっとしか見えない人に分かれてしまいます。こんな時には、「まず周辺を見て、意識を真ん中に持っていくそらし目という方法を試してください」「それでもツブツブが見えないようなら、見ている目と逆の目で見るようにしてください。利き目が乱視の可能性があります」とアドバイスしています。実際これで「見えました!」という方は多く、中には「剣山のように無数の星が見えました!」という方もいました。星空観察は視力や乱視のテストにもなります(笑)。

あと二重星も写真よりも眼視向きの楽しい対象です。今の季節なら天頂付近に見られるはくちょう座のアルビレオがお勧めです。その昔、宮沢賢治が童話「銀河鉄道の夜」で黄玉(トパーズ)と青玉(サファイア)に例えたとおり、黄又はオレンジとブルーの本当に美しい二重星です。おそらく青い星というのは見たことがないと思いますが、これは本当に青く見えるので驚かれます。もっともOⅢフィルターという特殊なフィルターをつけると星が全部青くなりますが(笑)。このほか、こと座のイプシロン星、通称ダブルダブルスターも一見の価値ありです。肉眼では一つの星が双眼鏡では二つになり、100倍以上の望遠鏡ではそれぞれがまた二つに分かれるのでダブルダブルスターと呼ばれています。しかもそれぞれ90度違う方向に見えるので、どっちかが縦ならもう片方は横にくっついて見えます。これも視力検査でしょうか(笑)。

とにもかくにも百聞は一見に如かず、です。ぜひ国民宿舎小豆島の星空観察会にご参加ください。

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