星空観察会

2019.9.26
星空観察会

天体望遠鏡の大きさ@国民宿舎小豆島星空案内人

満月190914天体望遠鏡は大きい方がよく見えると思っていませんか?理論上は確かに大きい方が分解能が向上しますが、実際には大気の状態に大きく左右され、望遠鏡の形式にもよりますが、口径が小さい方がよく見えることも決して珍しくありません。

特に日本の上空には年中ジェット気流が流れていて、中の上のシーイングでは実際の分解能は1秒、エアリーディスクという恒星の見かけ上の大きさで2秒といわれています。1秒というと口径12cm程度の分解能ですから、それ以上大きくても細かいところは見えないことになります。実際の経験上も、口径30cmの天体望遠鏡の能力がフルに発揮できるのは1年にわずか数夜といわれています。

もちろん天体望遠鏡の能力は分解能だけではなく、集光力も特に星雲・星団を見るための大切な要素ですIMG_1224が、大口径だと低倍率が出せないので、本当にキレイなすばる・プレアデス星団やペルセウス座二重星団などの大型の星雲・星団が視野に入りきらず、美しさが台無しになってしまいます。

仙台市天文台というところに、日本で3番目に大きい口径1.3mの反射望遠鏡があります。そこの元台長で、昔から惑星の眼視観測で有名な方によりますと、1.3mの大望遠鏡は「いつもボケボケ」だそうです。ここの鏡はロシアのロモ社という、旧ソ連当時世界一の6m反射望遠鏡を製作したところが磨きましたが、そもそも日本の大気の状態ではメートル級を眼視用に使うのは無理筋です。

結論としては、日本で土星や月などをくっきりシャープに見るには、12cmから15cmくらいの高精度アポクロマート屈折が一番といわれています。今年の夏は、新しく導入した12.5cmアポクロマート屈折と従来のメイン機である18cmマクストフカセグレン反射を土星でじっくり見比べましたが、シーイングがいい時でもほぼ互角、悪い時は屈折の圧勝でしたので、皆さんには12.5cm屈折でお楽しみいただこうと思います。

なお、国民宿舎小豆島の星空観察会は、興味のある方なら事前の申し込みなしでいつでもどなたでも参加いただけます。特に無風快晴の時は高確率で開催していますので、電話(TEL 0879-75-1115)で開催の可否や開始時間を確認の上、国民宿舎小豆島本館屋上まで直接お越しください。

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