星空観察会

2018.1.23
星空観察会

暗黒物質と暗黒エネルギー@国民宿舎小豆島星空案内人

アンドロメダ大銀河M31

今年も強風酷寒の季節になり、なかなか星空観察会が開けない季節がやってきましたので、星空観察会からちょっと離れて、久しぶりの宇宙シリーズです(笑)。今回は宇宙の大部分を占めながら正体がさっぱりわからない暗黒物質と暗黒エネルギーを取り上げます。

暗黒物質の存在が初めてわかったのは、アメリカの女性天文学者ヴェラ・ルービンによるアンドロメダ銀河の星の動きの観測でした。太陽系もそうですが、普通は重力の作用で中心に近いほど星の動きは速く、遠いと遅くなります。アンドロメダ銀河の場合も、当然そうだろうと予想していました。

おとめ座銀河M100おとめ座銀河M94ところが、予想に反して中心付近の星も周辺の星も同じ速さで動いていたのです。ヴェラ・ルービンがこのテーマを選んだのは、当時子育て中で最先端の研究をしてもどうせ負かされてしまうと思ったのと、誰もこのテーマの研究をしていなかったこと、銀河が神秘的に思えたからでした。いわば偶然の大発見だったのです。

ちなみにこの見えない質量は半世紀も前にカリフォルニア工科大学の天文学者、フリッツ・ツビッキーによって、「失われた質量」として予言されていました。ところがツビッキーは誰に対しても罵詈雑言を浴びせるという天文学界の嫌われ者で、せっかくの研究成果も無視されてしまったとか。学問にも性格は大事ですね(笑)。

それはともかく、スーパーコンピュータによるシミュレーションなどによって、星やガスなどの原子でできていてる物質の5倍も暗黒物質があることがわかりました。今ではアインシュタインのいう「重力が光を曲げる」重力レンズ効果を調べることによって、暗黒物質の三次元の形までわかるようになりましたが、暗黒物質そのものは未だ発見されていません。アメリカでは地下900mの炭鉱跡にゲルマニウムの塊を置いて何年も反応を調べていますが、なかなか見つかりません。発見したらノーベル賞確実なんですが。

さて、星やガスは宇宙全体の5%を占めるにすぎず、その5倍は暗黒物質というのはわかりましたが、まだ宇宙全体の4分の1にすぎません。のこり4分の3は何かというと、これが宇宙を加速膨張させている謎の力である暗黒エネルギーです。この宇宙が暗黒物質と暗黒エネルギーで大部分を占めているとは、宇宙は暗黒に満ち満ちているようです(笑)。

なお、国民宿舎小豆島の星空観察会は、興味のある方ならどなたでも参加いただけます。特に無風快晴の時は高確率で開催していますので、電話で確認(TEL 0879-75-1115)の上、国民宿舎小豆島本館屋上まで直接お越しください。

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