- 2017.7.26
- 星空観察会
ベテルギウスの超新星爆発@国民宿舎小豆島星空案内人
オリオン座ベテルギウスの超新星爆発が間近といわれています。間近といっても宇宙スケールの話なので、明日か百年後か一万年後かはわかりませんが(笑)。ベテルギウスは地球から形を直接観測できる唯一の恒星ですが、近年はすでに球形を保っておらず、大きなコブを持った不安定な姿になっています。
ベテルギウスは642光年もの彼方にあり、今見えるのは642年前の姿のため、すでに超新星爆発が起こっている可能性もあります。直径は太陽の900倍もあり、太陽の位置に持ってくると木星軌道付近まである巨大な星で、質量は太陽の20倍といわれています。星の寿命は典型的な「太く短く細く長く」で、ベテルギウスのような大質量星は核融合が激しく起こるため寿命が極端に短く、一千万年くらいしかないといわれています。ちなみに太陽の場合は普通の星より小さいため寿命は約90憶年で、今が約46億歳といわれているので、人の一生でいうとちょうど中年にさしかかったところです。
さて、超新星爆発が起こるとどうなるかですが、まず岐阜県にあるスーパーカミオカンデが大量のニュートリノを検出し、テレビのニュース速報で「ベテルギウスが超新星爆発」のテロップが流れると思われます。それから数十時間後にベテルギウスが急に増光をはじめ、今の予想ではマイナス11等といいますから、月の半月と満月の間くらいの明るさになって昼間でも見えるようになります。色は赤から青に変わり、その後数か月~数年かけて青からオレンジに色を変えながら見えなくなっていくものと考えられています。星空観察会的には月が二つになると、冬は星が見えなくなって困りますが(笑)。
地球に対する影響で怖いのはガンマ線バーストです。ベテルギウスの超新星爆発が起きると、北極と南極の2方向からガンマ線バーストが発生して、もし地球が直撃を受けると、ベテルギウスを向いた半球には強烈な閃光が走り、見てしまった人は失明してしまうかもしれません。失明しなくてもガンマ線は放射線の中でも最もエネルギーが高く、コンクリートの壁でも簡単に突き抜けてしまうので、致命的な放射線被ばくを受ける恐れがあります。実際に4憶4千万年前には地球にガンマ線バーストが直撃し、生物の七割が絶滅したのではないかといわれています。
幸いベテルギウスの極方向は地球と約20度ずれているため、直撃はないといわれていますが、超新星爆発の衝撃で極軸がずれる可能性もあり、リスクはゼロではないようです。超新星爆発後は、今のところ中性子星になるのではないかといわれていますが、ブラックホールになる可能性もあります。もしかしたら人類史上初となるブラックホール誕生の瞬間が観測できるかもしれません。
なお、国民宿舎小豆島の星空観察会は、興味のある方ならどなたでも参加いただけます。開催時間は直前になりますが国民宿舎小豆島のツイッターやフェイスブックでお知らせしていますので、確認の上、国民宿舎小豆島本館屋上まで直接お越しください。
(写真は上から超新星残骸のおうし座かに星雲及びはくちょう座網状星雲)